Tag: employment law
145 新しいH-1B抽選登録方法
2027年度のH-1B抽選登録は今年3月4日12時正午 (東部時間) に受付が始まり、3月19 日12 時 正午(東部時間) に受付が締め切られます。H-1Bの抽選は引き続きオンラインで登録をします。登録者1名につき申請料金215ドルを支払います。 今年のH-1Bの抽選は無作為の抽選から平均賃金レベルによる抽選方式に変わります。新しい抽選登録方式では、平均賃金レベルが高いポジションのほうの当選確率が高くなります。 現行の平均賃金レベルには4つのレベルがありますが、レベル4が一番高いレベルとなり、レベル1が一番低いレベルとなります。年間給与額が平均賃金レベル4を超えれば4回抽選のチャンスが与えられます。年間給与額が平均賃金レベル3を超えれば3回、レベル2を超えれば2回、レベル1を超えれば1回の抽選となります。この新制度では賃金レベルが低いエントリーレベルの職種は以前よりも当選確率が低くなることが予想されるため、専門家に相談しながら早めの対策をとったほうがよいでしょう。 平均賃金はH-1Bポジションのジョブカテゴリーと勤務地によって異なります。複数の勤務地がある場合は、平均賃金が一番低い場所のレベルを元に抽選回数が決められます。例えば、勤務地が2つある場合で、カンザス州の某カウンティーの平均賃金レベル4を超えるポジションが、NYでは平均賃金レベル1以上2未満であった場合、H-1Bの登録は平均賃金レベル1と判断され、1回のみの抽選となります。 当選確率を上げようとするための不正操作を防ぐため、一個人に対し複数の雇用主がH-1Bを登録した場合は、一番低い平均賃金レベルの雇用主の賃金レベルに応じて、一個人の抽選回数が決められます。この平均賃金レベルに応じたH-1Bの抽選登録を行うには、下記の情報が必要となります。・H-1B職種のSOCコード・雇用予定地域 ・勤務地 住所・H-1B...
144 永住権審査待ち時間
米国永住権(通称グリーンカード)の申請過程が大幅に遅れています。さらに、Priority Date (PD) の後退により、永住権申請の順番が回ってくる前に滞在資格が失効してしまい、いったん国外に出る必要がでてくるなど、新たな問題が浮上しています。Priority Date (PD)とは、Labor Certificationの提出日、Labor Certification免除の場合はI- 140の提出日を指します。国別に年間枠が設定されているため、国によってPDの順番待ち時間が異なります。
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143 就労許可書自動延長の廃止
国土安全保障省(DHS)と米国移民局は10月30日、就労許可の自動延長措置を即時廃止すると発表しました。就労許可書の自動延長の終了により不当詐欺的行為や正当性のない就労許可書の申請数を減らし、これにより米国内の安全保障と就労許可プログラムの健全性をより適切に確保することを意図しています。
【自動延長】
以前は、就労許可書の審査が異常なまでに長引いていたために雇用が一時中断するなどの問題が多発していました。この状況を改善するために、バイデン政権により更新申請中は既存のカードが失効しても、最長で540日間は就労資格が自動的に延長されるようになりました。このおかげで申請中も仕事が中断することなく、更新待機期間中も雇用を継続することができるようになりました。
【自動延長廃止】
しかしながら、今回の措置により、本年10月30日以降に就労許可書の更新申請をする外国人は、延長申請中に既存のカードが失効したら、雇用を継続することができなくなります。主に就労ビザ保持者の配偶者(H-4など)、永住権申請者、亡命者、強制送還差止申請者、暴力被害者ビザ(VAWA)申請者、また以前自動延長措置を受けることができた就労許可書カテゴリーの者が対象となります。しかしながら、今回の自動延長廃止措置はF-1学生のSTEM-OPT延長、TPS滞在資格の延長措置受益者、或は法的に滞在資格・就労資格を延長された特別な場合には適用されません。また、10月30日以前に自動延長された就労許可資格にも影響しません。
【影響】
就労許可の自動延長が廃止されたことで、就労許可証の有効期限が切れた労働者が更新承認を待っている間に就労資格を失う可能性があるため、多くの業界で突発的に人員不足のリスクが高まることが懸念されています。そのため、就労許可保有者に大きく依存している医療、教育、テクノロジー、サービスなどの業界では、事業やサービスの継続性が脅かされる可能性があると危惧されています。就労許可書が切れて新しいカードが届くまでの就労中断期間を最小化するためには、現在の就労許可書が失効する180日にすぐに更新申請を提出したほうがよいでしょう。
【I-9遵守】
また、一時的な雇用の中断により雇用法順守に問題がないように、雇用主は社内のI-9ポリシーと離職手続きを見直し、有効な就労許可書なしで雇用を継続しないように注意する必要があります。社員の就労許可書の有効期限が切れた場合、まずは例外措置の適用に該当するかを確認し、その他の救済措置がないか専門家の意見を求めたほうがよいでしょう。また、患者のケアや製造業や重要部門業務の人材不足を補うためにも、緊急時の人員配置計画などを策定し、オペレーションへの障害を最小限に抑えるように心掛けたほうがよいでしょう。
本ニュース記事に関する注意事項(DISCLAIMER)
本記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。
大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。
142 H-1B 10万ドル追加費用
9月19日、トランプ大統領はH-1B非移民ビザの濫用に対処するため、特定のH-1B労働者の入国制限に関する布告を発令しました。9月21日以降H-1Bを新規に申請した企業には10万ドルの申請費用が追加されます。この支払を怠った場合、アメリカへの入国が制限されることになります。この大統領布告は、既存のH-1Bビザ保有者、または上記期日前に申請あるいは承認されている者がアメリカへ出入国することを妨げるものではありません。
H-1B非移民ビザは、高度な技術や知識を必要とするような業務に携わる大卒者用の就労ビザです。理数系のポジションが大半を占めますが、特に情報技術(IT)業界では、アウトソーシング会社を通して国外から数多くのH-1B労働者を雇用しているために、アメリカ人労働者や地元の新卒者の仕事を奪っていると問題視されています。そこで、アメリカ市民や永住者の雇用を確保するために、9月21日以降H-1Bを新規に申請した者で、さらに下記のいずれかの条件を満たした人には10万ドルの追加申請費用の支払いが義務付けられます。下記に対象者、対象外、例外措置について説明します。
【対象者】
•米国外に居住し、有効なH-1Bビザを保有していない場合。
•米国内に居住し、米国内での滞在資格変更申請ではなく、国外の米国領事館あるいは国境経由の申請を選んだ場合。
•米国内に居住し、米国内での滞在資格変更、修正あるいは延長申請が認められなかった場合。つまり、請願書が国外の米国領事館あるいは国境経由の請願に変更された場合。
【対象外】
•9月21日以前にH-1Bビザが発行され、現在有効なH-1Bビザ保有者。
•9月21日以前に提出された請願。
•9月21日以降に滞在資格の訂正・変更・延長申請をし、すでに承認されてい場合。
•上記のいずれかに該当する者で、承認通知書をもって国外の米国領事館でビザを申請する場合、
•既存のH-1Bビザで米国に再入国しようとする場合。
【支払い方法】
10万ドルの支払いは、USCISへの申請提出前にPay.govを通じて行います。H-1B申請時にpay.govから支払いが予定されていることの証明、または政府から10万ドル支払いの例外が認められたことを証明する書類を添付します。これら支払いあるいは例外の証明書類が添付されていなければ、申請は却下されます。
【例外申請】
10万ドル支払いの例外に該当すると考えられる場合は、例外申請とともに関連証拠書類をH[email protected]まで送信します。 例外申請をするためには、以下の条件を満たしている必要があります。
•受給者がH-1Bビザ労働者として米国に滞在することが国益にかなうこと。
•その役割を果たすアメリカ人労働者がいないこと。
•外国人労働者が米国の安全保障または福祉に対する脅威とならないこと。
•申請雇用主にこの追加費用の支払いを要求することは、米国の利益を著しく損なうこと。
なお、H-1Bの追加費用に関しては、今後も規定や解釈が変更する可能性があるので、移民局と国務省からの最新情報を引き続き注視し、必ず申請時における最新のガイダンスに基づいて申請をするように心がけたほうがよいでしょう。
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本記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。
大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。
140 出張者のビザオプション
今年9月4日に現代自動車バッテリー工場で移民捜査当局(ICE)によるアメリカ史上最大規模の摘発が行われ、475人の労働者が拘束されました。拘束者の中には300人以上の韓国人が含まれており、日本人も3名含まれていると報道されています。
当局側は拘束者は滞在資格違反あるいは不法就労に携わっていると説明していますが、現代自動車は作業者は直接雇用した労働者はいないが、合法に作業をしていたと説明しています。ほとんどの拘束者は日本人もよく使うビザ免除プログラム(ESTA)やB1短期商用目的のビザで入国していたと報道されています。ここで、短期商用目的でアメリカに出張する者の注意点について説明します。
日本からの出張者がよく使うESTAとはオンラインで申請できる電子渡航認証のことで、オンラインで個人情報の登録を行えば、短期商用・観光目的で入国し、一回に最長で90日まで滞在することができます。ただし、一年間に合計で180日以上滞在することはできません。ESTAは、アメリカでの活動内容は取引先との会合、科学、教育、専門、ビジネス分野の会議への参加、財産の処理、契約交渉を目的とする渡航者を対象としています。ESTAで入国した場合、アメリカ国内で就労することはできません。
しかしながら、これには例外があり、技術者が日本など国外から米国企業に販売した商工業用機械・機器の設置、サービス、または修理等を行う目的で渡米する場合、機械設置のために技術者を派遣することが売買契約に明記されていれば、ESTAで入国することができます。ただし、技術者はこれらのサービス提供に必要な専門知識を有していることが条件で、米国を源泉とする報酬を受けることはできません。また、企業はこれらのサービス提供に対し当初の売買契約書に定められたもの以外の支払いを受けることはできません。
また、商工業設備および機器の設営、サービス、修理のために米国人の研修を行う目的で渡米する技術者にも該当します。このような場合も報酬は日本の企業から支払われ、研修が行われることが売買契約書に明記されていなければなりません。予定される活動が記載されていない場合は就労ビザが必要となります。ただし、この例外事項は建築業務には該当しません。
ESTAでの入国を試みて、入国時に就労目的を疑われると、第2次審査室に連れて行かれます。入国官によっては、アメリカの訪問先に電話をかけて旅行者の入国目的を確認することもあり、本人の陳述とアメリカ訪問先担当者の回答内容に相違があったり、また本人の回答が矛盾していたりした場合などは、入国を拒否されます。同じ入国拒否でも、入国官の質問に正直に回答した結果、目的にあったビザを取得するように言われた場合は、単なる入国拒否となり、将来目的に合ったビザを申請して入国することができます。
もし、入国官の質問に対して虚偽の陳述をしたと判断されると、将来入国禁止という判断を下されることがあります。この場合、却下内容によっては、将来ビザを申請する際に入国拒否理由の免除の申し立てるウェイバー申請を提出することも可能です。免除審査に通常2〜3か月ほどかかります。
ESTAでの入国を拒否されたら、将来ESTAの申請はできなくなりますが、他のビザを申請することはできます。就労を伴わない短期訪問目的であれば、ESTAの代わりにB-1/B-2短期商用・観光ビザを申請することはできます。B-1/B-2短期商用・観光ビザは、日本国籍保持者であれば通常10年間有効なビザスタンプを発行してもらえます。入国時は入国目的に応じて一回に90日から180日以内の滞在資格をもらうことができます。ESTAとは異なり、B-1/B-2ビザ保持者は、正当な理由があれば米国内で滞在資格を延長することができます。アメリカ国内で許されている活動内容はB-1とESTAは同じです。
従って、日本からの短期出張者は、入国目的に応じたプログラムやビザ種類を選択して入国することが賢明といえるでしょう。また、入国時には日本の雇用主からレターを持参し、渡米目的を明確にし、アメリカでは法律上許容されている活動に従事することを説明できるように事前に準備することが大切です。アメリカ側からの招待状も準備したほうがよいでしょう。例え短期間の滞在であっても、アメリカでの活動が”就労“ととらえられるような内容であれば、L、E、H-1Bなどの就労ビザを取得してから入国したほうがよいでしょう。
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大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。
139 ビザ面接免除の停止
国務省は、9月2日より各国の米国大使館や米国領事館での非移民ビザ面接免除の対象範囲を大幅に縮小すると発表しました。以前はE条約ビザ、H-1B専門職ビザ、L国際企業間転勤(Lブランケットを除く)、F学生ビザを含む非移民ビザの申請者の延長申請は、ビザスタンプが過去12か月以内に失効していれば郵送による申請をするオプションがありました。しかし、新方針ではこれらの申請者も対面面接が義務付けられるようになります。また、今まで長年にわたって面接が免除されていた14歳未満の子ども、および79歳を超える高齢者も面接を義務付けられるようになります。
【免除対象者拡大の背景】
新型コロナウイルスの影響で、各国の米国大使館や米国領事館で一時的にビザ面接が凍結したり、一日の面接者数が制限されたりしたために、ビザ申請が非常に難しくなっていました。そのような状況を改善するために、同じビザ種類の更新申請者(Lブランケットを除く)は、既存のビザスタンプ有効である、あるいは48か月以内に失効した場合は、面接の免除を受けることができるようになり、多くの申請者はビザ更新を郵送申請することができるようになりました。また、バイデン政権下では、過去にアメリカの特定種類のビザを申請したことがある人は、別の種類での初期申請でも面接が免除され、一時的に郵送申請が認められていました。
しかしながら、新トランプ政権発足後の今年2月には、国務省により、新型コロナ時代の面接免除の対象範囲が大幅に縮小されました。この変更により、面接免除の対象範囲は、同じビザ種類でビザスタンプがまだ有効であるか、あるいは過去12か月以内に失効した場合にのみ限定されました。今回9月の方針により、面接免除の対象範囲がさらに狭まることになりました。
【免除対象者】
新方針では、下記のものが引き続き面接免除の対象となります。
・A-1、A-2、C-3(公認職員の随行員、使用人、または個人従業員を除く)、G–1、G–2、G–3、G–4、NATO–1からNATO–6、またはTECRO E–1のビザ記号に該当する申請者。
・外交ビザまたは公用ビザの申請者。
・前回のビザの有効期限中、あるいは有効期限失効から12か月以内に、B–1、B–2、B–1/B–2ビザ、あるいは国境通過カード(メキシコ国籍者の場合)を更新する申請者で、前回のビザ発行時に18歳以上であった申請者。
B–1/B–2ビザ申請者は、国籍国または居住国で申請する必要があり、ビザの発給を拒否されたことがなく(拒否が克服または免除された場合を除く)、明らかな不適格性または潜在的な不適格性がない場合にのみ面接免除の対象となります。
ただし、ビザ面接免除対象者であっても、米国大使館あるいは米国領事館の判断で、理由の如何にかかわらず面接に出頭するように要請されることもあります。したがって、申請者は、申請する米国大使館や米国領事館のウェブサイトでビザ申請要件や手続方法、開館・休日状況、サービス内容、緊急情報などを事前に確認したほうがよいでしょう。
【今後の対応】
面接免除の新基準を満たさない申請者は、9月2日以降は、初期ビザ申請、更新申請の人も皆米国外の米国大使館か米国領事館でビザ面接の予約を取る必要がでてきます。面接予約状況は各国の米国領事館やビザ種類によって大きく異なるので、各国の面接状況やビザ面接待ち時間を確認するなど、事前に綿密な渡航計画を立てる必要があるでしょう。さらに、これまで長年にわたってビザ面接対象年齢範囲外であったビザ申請者も、今後は米国領事館への直接出頭が必要となるので、特に幼児や老齢者の面接に対応できるように、事前に準備する必要があるでしょう。この方針の施行により、今後はビザ面接予約が非常に混み合うことが予想されるので、面接予約はかなり早めに抑えたほうが無難だと思われます。
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大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。
138 一時的保護資格(TPS)について
一時的保護資格(TPS)とは、戦争や災害など特別な事情により安全に帰国ができない状況にある外国人に与えられる短期的滞在資格のことです。TPS保持者は母国が安定するまでの間、強制退去処分の対象とはなりません。その間、米国に滞在し就労することができます。 現時点でおよそ16カ国が対象となっており、昨年時点でおよそ110万人ものTPS資格保持者が存在していました。
バイデン元大統領は政権終了直前に、TPS資格を18カ月間延長する措置をとりました。しかし、トランプ政権発足直後にこれらの延長措置は却下されると発表されました。これを受け、政府に対して訴訟が起こされています。下記に最近の動向を説明します。
ハイチは2021年8月にTPSの対象に指定されましたが、バイデン前政権はハイチTPSの滞在期間を2024年8月3日から2026年2月3日まで18カ月間延長しました。しかしながら、トランプ政権発足後、この延長期間が18カ月から12か月に短縮され、今年8月3日に期限切れになると発表されました。滞在期間失効後は9月2日まで移行期間が与えられました。
ところが、国土安全保障省が連邦最高裁判所で類似案件で8対1の勝訴判決を得ているにもかかわらず、7月15日にはニューヨーク東部地区連邦地方裁判所の単独判事が、ハイチのTPS資格は2026年2月3日より前には失効しないという最終判決を下しました。したがって、現時点においてはTPS枠(A12あるいはC19)で申請した就労カード(EAD)の失効日が9/5/2025, 8/3/2025, 8/3/2024, 6/30/24, 2/3/2023, 12/31/2022, 10/4/2021, 1/4/2021, 1/2/2020,...
137 学生ビザの審査強化
5月に国務省はFビザ、Mビザ、Jビザ申請者に対する審査強化を発表し、審査プロセスの一環としてソーシャルメディアのプロフィール公開を義務付けました。そのために、5月27日より各国での学生のビザ面接が一時的に停止していましたが、6月18日からビザ面接を再開すると発表しました。
トランプ政権は、ビザ発給審査は国家安全保障の観点から、申請者が米国民および米国の国益を害する意図を持たないこと、入国目的に応じた活動をする意思があること、入国条件を満たしていることを証明しなければならないとしています。
そのために、各国の米国大使館と領事館に対し、申請者のオンライン上での活動内容が米国に敵意がないか、テロや反ユダヤ主義テロ組織への支持をしていないかなど、米国安全保障上の懸念事項がないか確認するよう指示をだしました。
ソーシャルメディア情報開示に関してはDS160のオンラインビザ申請書類に数年前から既にこの質問は追加されており、ビザ申請者はみな過去5年に使ったことのあるソーシャルメディアのユーザー情報を記入しています。審査官も違反事項がないか、申請内容に偽りがないかなど調べていました。しかしながら、今回の方針により、ソーシャルメディアに開示している情報はさらに厳しくみられることになります。
領事館は申請者に米国の市民、文化、政府、機関、または建国理念に対する敵意の兆候がないかなどソーシャルメディア情報を確認します。外国のテロリストおよび米国の国家安全保障に対する脅威の擁護、援助、または支援、あるいは違法な反ユダヤ主義の嫌がらせまたは暴力支援に関連するような情報がみつかれば、ビザが却下される可能性もあります。ただし、学生ビザ申請者の中でも、J-1ビザの医師および留学生数が少ない(15%以下)教育機関に通う学生の面接は優先される予定です。
留学生全体のビザ審査強化に至った背景には、5月に発表された中国籍留学生とハーバード大学への留学ビザの取消方針があります。5月28日にトランプ政権は中国共産党と関係のある学生や重要分野を専攻する学生を含む中国人学生のビザを積極的に取り消すと発表しました。5月30日には、ハーバード大学の学生・交流訪問者プログラム(SEVP)の認定を取り消すと発表しました。これは、大学の外国とのつながり、過激主義・暴力や反ユダヤ主義助長など一連の行動規範違反への対応不備や中国共産党との連携への懸念に基づきトランプ政権がとった措置です。
ハーバード大学は政府を相手に訴訟を起こし、ビザ発給の取消は宗教、言論、出版、集会、政府に請願する権利などを基本的自由を保護する米国憲法修正条項第一条の明らかな違反だと主張しました。大学側の仮差止命令の要請は認められ、訴訟中はビザ発行の取消は一時的に阻止されています。
このような不安定な状況のなか、ハーバード大学で学ぶ留学生が他の大学に移籍したり、あるいは中国人学生も含め留学先を他国に変更したりするなど、アメリカの大学離れの傾向も見られます。これら政府の措置に対する訴訟は未だに続いていますが、特に理系の中国人留学生やハーバード大学の留学生をOPTやCPTで雇用している雇用主は、今後の訴訟の動向を見守る必要があるでしょう。
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本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。
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テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。
訂正とお詫び
前号5月号の記事で二段目15行目=「移民局のより退去手続きが開始された人。」は「・移民局により退去手続きが開始された人。」です。訂正しお詫びします。(編集部)
大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。



