Tag: 受験
第4回 英語資格試験 出願資格をどう生かすか
歩んできた道を信じて
こんにちは。早稲田アカデミーの川村です。帰国生入試において、英語資格、とりわけ英検は大きな意味を持ちます。中学受験・高校受験を問わず、「英語力」は帰国生の強みであり、それを客観的に示す指標として、英検は多くの学校で重視されています。ただし、英検を「持っているかどうか」だけで判断してしまうと、本来生かせる価値を十分に引き出せなくなってしまいます。
現在の帰国生入試では、複数の英語資格が存在する中で、実務的には英検が最も広く用いられています。出願資格として明確な基準が示されている学校が多く、日本の学校制度との相性の良さも、その理由の一つです。そのため、帰国生受験を考える際には、まず英検をどう位置づけるかを考えることが現実的な出発点になります。
ただし、英検を取得していれば十分というわけではありません。同じ級を持っていても、その評価や使われ方は学校によって異なります。中学受験では英語試験の免除や加点として、高校受験では出願条件として扱われることもあり、同じ資格でも意味合いが変わる点には注意が必要です。
重要なのは、「資格の高さ」そのものではなく、「その資格がどの場面で、どのように生かされるのか」を理解することです。英検はゴールではなく、受験戦略を考えるための一つの材料にすぎません。志望校が英検をどのように評価しているのかを正しく把握することで、準備の方向性が定まります。
また近年は、中学受験・高校受験ともに、面接や作文を重視する学校が増えています。そこでは英検の級以上に、「その英語力を使って何を考え、どう表現できるか」が見られます。資格はあくまで土台であり、その上に積み重ねてきた経験や中身が問われているのです。
出願資格として英検を満たすことで、受験できる学校の選択肢は広がります。資格は進路を縛るものではなく、可能性を広げるためのものだという視点を持ち、計画的に活用していくことが大切です。
最後に、これから帰国生受験に向き合っていかれる保護者の皆さまへ。
帰国生受験は情報も多く、制度も学校ごとに異なるため、不安を感じる場面も少なくありません。ただ、お子さまはすでに、海外で学び、生活し、日本語と英語の間を行き来してきたという、かけがえのない経験を積み重ねてきています。
完璧な戦略でなくても大丈夫です。
迷いながらでも、これまで積み上げてきたものを信じ、今できる準備を一つずつ整えていけば、道は必ず見えてきます。帰国生受験は「積み重ねの確認作業」です。
不安になるのは、それだけ真剣に向き合っている証拠です。もちろん、不安になることもあると思いますが、これまで積み重ねてきた日々は、決して無駄にはなりません。どうか自信を持って、この帰国生受験に向き合っていってください。
■川村宏一(かわむら・こういち)
早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2022年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月より現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。問い合わせはEメール[email protected]まで。
早稲田アカデミー ニューヨーク校 https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
第3回 英語資格試験 出願資格をどう生かすか
中学受験・高校受験に共通する「資格との向き合い方」
こんにちは。早稲田アカデミーの川村です。帰国生入試において、英語資格は大きな意味を持ちます。中学受験でも高校受験でも、「英語力」は帰国生の大きな強みであり、その力を客観的に示すものとして、英検は多くの学校で重視されています。ただし、英検を「持っているかどうか」だけで捉えてしまうと、本来生かせるはずの価値を十分に引き出せなくなってしまいます。
現在の帰国生入試では、TOEFLなど複数の英語資格が存在する中で、実務的には英検が最も広く使われているのが実情です。出願資格として明確に基準が示されている学校が多く、中学・高校を問わず、英検級による判断がなされるケースが目立ちます。これは、日本の学校現場との親和性や、受験制度との相性によるところが大きいと言えるでしょう。そのため、帰国生受験を考える上では、まず英検をどう位置づけるかを考えることが現実的な出発点になります。
ただし、英検を取得していればそれで十分、というわけではありません。同じ英検準一級を持っていても、その扱いは学校によって異なります。中学受験では、英語試験の免除や加点として用いられる場合がある一方、高校受験では、出願条件を満たすための要件として位置づけられることも少なくありません。つまり、同じ資格であっても、中学受験と高校受験では意味合いが変わることがあるのです。
ここで重要なのは、「資格の高さ」そのものではなく、「その資格がどの場面で、どのように生かされるのか」を理解することです。英検はゴールではなく、受験戦略を考えるための材料の一つにすぎません。志望校が英検をどのように評価しているのかを正確に把握することで、初めて準備の方向性が定まります。必要以上に資格取得に時間をかけてしまったり、逆に資格に頼りすぎて他の準備が手薄になったりすることは、避けたいところです。
また、中学受験・高校受験のいずれにおいても、近年は面接や作文を重視する学校が増えています。そこでは、英検の級そのものよりも、「その英語力を使って何を考え、どう表現できるか」が見られます。高い級を持っていても、自分の経験や考えを言葉にできなければ評価につながりにくくなります。一方で、英検の級が突出していなくても、海外での学びや生活を自分の言葉で語れる生徒は、強い印象を残します。資格はあくまで土台であり、その上にどんな中身を積み重ねてきたかが問われているのです。
出願資格という観点でも、英検は重要な役割を果たします。資格を満たすことで受験できる学校の幅が広がり、選択肢が増えます。中学受験でも高校受験でも、出願資格を正しく理解し、計画的に取得することで、無理のない志望校選択が可能になります。資格は、進路を狭めるためのものではなく、広げるためのものだという視点を持ちたいところです。
帰国生受験において、英検は確かに強い味方です。しかし、それは「持っているから安心」なのではなく、「どう生かすかを理解しているから強い」のです。中学受験でも高校受験でも、この考え方は変わりません。資格を冷静に位置づけ、子どもの特性や志望校の方針と結びつけていくことが、帰国生受験を安定して進めるための鍵になります。
次回は、こうした英語力や海外経験を、願書や自己PR、面接の場でどのように伝えていくかについて考えていきます。
■川村宏一(かわむら・こういち)
早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2022年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月より現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。問い合わせはEメール[email protected]まで。
早稲田アカデミー ニューヨーク校 https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
第2回 情報のアップデートが“勝負を分ける”
英検・オンライン受験・出願条件の変化
「帰国生入試は特別だから。」
こんにちは。早稲田アカデミーの川村です。今回は、情報のアップデートの重要性についてご説明いたします。
帰国生入試では、「去年と同じだから大丈夫」という考えは通用しません。むしろ、去年と今年の情報の差が、そのまま合否に影響することさえあります。
帰国生入試は制度の変化が速く、学校ごとの選抜方法が毎年のように更新される領域です。過去の体験談を参考にすることは大切ですが、そのまま当てはめてしまうと、現在地を見誤る可能性があります。地図が描き変えられているのに、古い地図を頼りに道を探すようなものです。
その変化を象徴する例のひとつが、英語資格の扱いです。たとえば同じ英検準一級でも、評価は学校によって大きく異なります。 広尾学園や渋谷教育学園渋谷では、英語資格を得点換算に用いる年度があり、成績に直接影響することがあります。
一方、頌栄女子学院や東京女学館では、出願条件を満たす証明としては有効でも、得点上の加点にはつながりません。また、海城中では年度によっては英語力に応じて面接の比重が変わるなど、資格の持つ意味が一定ではありません。重要なのは「資格を持っていること」ではなく、「その資格が志望校においてどのように扱われるか」を理解することです。資格そのものより、その“使い方”が問われています。
もう一つの大きな変化は、オンライン受験やオンライン面接の導入です。コロナ禍をきっかけに、多くの学校が海外在住者にも受験しやすい形を整えてきました。
たとえば広尾学園は海外オンライン面接を複数年度で採用し、渋谷教育学園渋谷もオンライン面接や事前提出資料を併用した選抜を実施した時期があります。しかし、これらは常に継続されるわけではありません。翌年度には対面形式へ戻すケースもあります。つまり、「去年オンラインだったから安心」という考え方は危険です。今年どうなっているのかを確認することこそが重要です。
また、出願条件にも細かな変更が発生します。海外在住年数や帰国時期、TOEFLや英検のスコア提出方法、願書の記述テーマ、面接で問われる内容など、同じ学校であっても、昨年度と一文字単位で違うことがあります。「去年受けた知り合いがこう言っていた」では、十分ではありません。大切なのは「今年」の情報に立脚した判断です。
そして、情報を“持つ”ことと“使える”ことは別の力です。集めた情報を、自分の子どもの強みと照らし合わせ、どこで力を発揮できるかを考える必要があります。英語が得意な子、思考を文章にまとめる力がある子、対話の中で自分の考えを伝えるのが上手な子。それぞれ活かせるフィールドは異なります。情報とは、選択肢を広げるための材料であり、道しるべです。
帰国生受験は、努力量だけで決まるものではありません。努力の「方向」が合っているかどうかで成果は大きく変わります。その方向を定める羅針盤が、まさに「最新の情報」です。
今年も、学校は動いています。制度は変わり続けています。だからこそ、「昨年」ではなく「いま」を見ましょう。
次回は、集めた情報をどのように整理し、“戦略”へと形にしていくかを考えていきます。
■川村宏一(かわむら・こういち)
早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2022年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月より現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。問い合わせはEメール[email protected]まで。
早稲田アカデミー ニューヨーク校 https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
第1回 帰国生中高入試における情報の重要性
「帰国生入試は特別だから。」
そう言われることがあります。確かに、一般入試とは時期も内容も異なり、英語資格や海外経験が重視される学校も多い。しかし実際のところ、「特別」であるがゆえに、情報を持つかどうかが大きな差を生みます。
申し遅れましたが、私は川村宏一と申します。早稲田アカデミーという進学塾に勤め、現在はニューヨーク校で現地代表を務めています。マンハッタンから少し離れた静かな住宅街に校舎があり、対面だけでなくオンラインで学ぶ生徒も多く在籍しています。ここNY校では、日々多くの帰国生と向き合う中で痛感するのは、「正確な情報を、タイムリーに入手することの重要性」です。この紙面では、そうした帰国生入試の最新情報や考え方を、現場の視点からお伝えしていきたいと思います。
ここ数年、帰国生入試の形は大きく変化しています。出願のオンライン化、英語資格の扱い、面接や作文の形式など、学校ごとの特徴がますます多様になりました。たとえば同じ「英検準1級」でも、ある学校では得点換算され、別の学校では出願条件としてのみ認められます。また、かつては海外会場でしか受けられなかった試験が、いまではオンラインで受験できるケースも増えています。つまり、最新情報を知っているかどうかで、受験の選択肢は大きく変わるのです。
帰国生入試の難しさは、情報が一か所にまとまっていないことにもあります。学校の公式サイト、説明会資料、願書要項、そして実際に受験したご家庭の体験談——それぞれが貴重な情報源ですが、整理し、比較し、自分たちの状況に当てはめる力が求められます。「誰かがまとめてくれるのを待つ」だけでは、正確な判断ができません。特に海外在住のご家庭では、時差や距離の制約で、情報を得るタイミングが遅れがちです。しかし、この"情報の遅れ"こそが、最大のハンデになり得るのです。
反対に、積極的に情報を集め、分析し、早めに動いたご家庭ほど、受験を有利に進めています。どの学校がどんな入試タイプを実施し、自分の子どもの強みをどこで発揮できるか——たとえば「英語型」か「国算型」か、「独自問題型」かを理解するだけで、準備の方向が明確になります。情報はただのデータではなく、戦略を立てるための武器なのです。
帰国生入試は、日本にいない子どもたちが受ける試験です。だからこそ、情報をどれだけ持っているかでスタートラインが変わります。学校の方針や試験形式は毎年少しずつ変化し、去年の体験談がそのまま今年に当てはまるとは限りません。常に「今」の情報を追い、どう生かすかを考える姿勢が、保護者にも子どもにも求められます。これこそが、帰国生受験を乗り越えるための本当の"受験力"です。
もちろん、情報だけで合格が決まるわけではありません。努力、学力、そして精神的な強さも欠かせません。しかし、同じ努力をするなら、より確かな方向を見て進む方が成果は出やすい。正しい情報を早くつかみ、行動に移せる家庭こそ、帰国生受験を制するのです。
このエッセイシリーズでは、今後6回にわたり、「情報」と「戦略」の視点から、帰国生入試を成功に導くための具体的なヒントをお届けしていきます。第1回の今回は、その土台となる「情報の重要性」についてお伝えしました。次回は、実際にどのように情報を集め、整理し、比較していくか——"情報戦の第一歩"を一緒に考えていきましょう。
■川村宏一(かわむら・こういち)
早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2022年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門にて英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月より現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。問い合わせはEメール[email protected]まで。
早稲田アカデミー ニューヨーク校 https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html


