Tag: 医師
米田あゆ JAXA宇宙飛行士が講演
宇宙医学入門ウェビナーに900人参加
医師から宇宙へ挑戦の歩みを語る
日本テキサス医学振興会(JMTX)は10月19日、特別企画ウェビナーを開催し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士の米田あゆ氏が「宇宙と医学とこれから」を講演した。Zoomを通じて900人を超える参加者が集まり、医療と宇宙の接点や今後の可能性について語った。
(写真上)米田あゆ宇宙飛行士「宇宙と医学とこれから」のウェビナー画面から 写真:JMTX
米田氏は2019年に東京大学医学部を卒業後、外科医として多くの患者の治療に携わった。2022年のJAXA宇宙飛行士候補者選抜試験に合格し、2023年に正式に宇宙飛行士となった。現在米ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターで、国際宇宙ステーション(ISS)や月探査への参加を見据えて訓練を続けている。
講演では、医師から宇宙飛行士への転身経緯や日々の訓練内容、宇宙環境での生命医学研究、ISSでの医療事情など、宇宙医学の多角的なテーマを紹介した。ISSの日本実験棟「きぼう」での医薬品開発や燃焼実験、微小重力下での細胞医療や健康長寿研究など、宇宙を活用した最先端の科学にも触れた。
宇宙環境では、一日で地上の高齢者の半年分に相当する筋力が失われ、血流の変化によって顔がむくむ「ムーンフェイス」現象が起こるという。また、視覚障害や体液分布の変化など、未解明の課題も多いと説明した。
子どものころ、女性医師で宇宙飛行士の向井千秋さんの伝記を読んだことが、宇宙への関心の原点だったと明かした米田氏。外科医として働く中でも「知らない世界を知りたい」という気持ちを持ち続け、JAXAの募集を見て「子どもの頃の自分に背中を押された」と応募を決意したという。
訓練では、天文学やライフサイエンスの学習、着衣水泳や救急対応、ロボットアーム操作、船外活動やサバイバル訓練など幅広い課題に挑戦している。多国籍の訓練仲間とミスを共有し合い、チームとして成長する文化が印象的だったと話した。
講演では、NASAが主導し進める月面探査計画「アルテミス計画」にも言及。日本人宇宙飛行士2人が月面に降り立つ予定で、「宇宙開発はより遠くへ、より多くの人へ向かう」と語った。宇宙医学は、人類が健康に宇宙を旅できる未来を支える分野としても重要になると強調した。
質疑応答では「訓練で医師としての経験が生きたか」との質問に、「チーム医療の経験が協力訓練に役立ちました。外科手術と同じように映像で学ぶ点も共通しています」と回答。挑戦への不安については「今あるものを失う怖さより、得られる経験の方を信じた」と語った。
主催した日本テキサス医学振興会(JMTX、福田由梨子代表)は2022年10月にヒューストンの日本人臨床医を中心に設立されたノンプロフィット団体。医療系ウェビナーを年に3回ほど開催しており、11月15日(土)には第7回JMTXウェビナー:アメリカで健康を守るコツ 〜かかりつけ医とがん検診の上手なかかり方〜」を予定。詳細・申込はhttps://jm-tx.org/まで。


