
米国の現政権では、大統領個人にどれほど気に入られるかによって、地位、役割、その後の扱いがこれまでの政権以上に左右されるところがあり、米国の閣僚や外国政府等も、大統領に頻繁にアピールを行っています。日常生活で私たちが人を称賛する場合、誇張した表現では気持ちがこもっていないと思われがちです。今回は、尊敬の念などを伝えることによって、真摯に人を褒める方法を取り上げます。
まず、相手が一番だと言い切るより、相対的な評価をした方が本心が伝わりやすいでしょう。You’re one of the best bakers in DC. や、No other agency has grown like yours in the past year. などと、「トップの一人」として褒めたり、地域や期間を限定したりすることができます。I believe . . . と冒頭に付けて自分の意見として伝えることもできますが、少しありきたりな表現なので、むしろI’ve never met anyone who plays tennis as beautifully as you do.やYou are the best public speaker I know. などと、「自分の知る限り」という形にした方がもう少しクリエイティブですし、印象に残りやすいでしょう。
小さなことも褒められます。その日最初に会ったときに、(もちろん実際にそう思った時だけですが)相手の服装や持ち物を褒めると、いい雰囲気で一日を始められます。エレベーターなどで一緒になっただけの知らない人同士でも、会話のきっかけになるでしょう。You look beautiful in that outfit. や That color really suits you. などという表現は、女性同士などで使えますが、相手の身体的な見た目に触れるため、場合によってはセクハラになりかねず、注意が必要です。逆に、That’s such a cool umbrella.や What an adorable puppy! などと、直接身に着けていない持ち物やペットを褒めるカジュアルな表現なら、誰も悪い気はしないでしょう。
仕事など中身のあることを褒める場合、自分が上司や顧客なら、Our conferences keep getting better ever since we hired you as an event planner. などと、高く評価していることを淡々と伝えられます。ただ、目下の人から言う場合には、知識や経験が限られているため、I was so inspired by your keynote speech, and can’t wait to put your tips to practice!や I have so much respect for you as one of the most renowned litigators in town. などと個人的な意見として述べた方が丁寧でしょう。
人を褒めることは仕事や社交において欠かせませんが、本心かどうかはすぐに伝わりますし、心にもないことを言う人は信頼されません。相手のどんなところがいいのか、内容を盛り込んだ上で、誠実な形で気持ちを伝えたいものです。

■プロフィール
シアトルで生まれ、ホノルルと東京で育つ。Shiori Communications, LLCの代表として、ワシントンDCを中心に、通訳、執筆活動などを展開。日米をつなぐ言葉の仕事に情熱を注いできた。過去には米日カウンシルや在米・在英日本大使館の広報チームで勤務。通訳者としては、日米各地でハイレベルの会議、人的交流プログラムなどを担当。ダートマス大学で学士号、コロンビア大学の国際公共政策大学院とジャーナリズム大学院で修士号を取得。ブログ「tabula sarasara」、ポッドキャスト「CrossWorld Puzzles」更新中。




