26日までに124人が感染、一人死亡

 テキサス州は同州として過去30年間で最大の麻しん(はしか)の流行に見舞われている。隣接するニューメキシコ州でも流行のきざしがある。

 テキサス州西部に位置するラボック市は26日、学齢期の子ども1人が死亡したと発表した。米国は2000年にはしか根絶宣言を出している。米国ではしかによる死者がは2015年にワシントン州で女性1人が死亡して以来で10年ぶり。

 テキサス州保健当局によると、州の西部で1月に初めて患者が確認されて以来、子どもを中心に少なくとも124人の感染が確認され18人が入院した。このうちワクチン接種していたのは5人のみ。124人の内訳は、0~4歳が39人、5~17歳が62人、18歳以上が18人、未確認が5人。

 テキサス州で当初、感染者が集中したのはゲインズ郡。キリスト教のアナバプテストの教派であるメノナイトのコミュニティーがあり、信徒は宗教上の理由から学校でのワクチン接種免除を受けていることが多く、5人に一人はワクチン接種していないとされる。子どもたちはおもに自宅で教育を受けているが、感染者のほとんどは幼児と10代の若者だった。

 保健当局によると感染したテキサス州の住民の1人が、サンアントニオ市や近郊の複数個所を訪問したことを明らかにした。

 ゲインズ郡からほど近いニューメキシコ州東部の州境の地域でも25日までに9人の感染が報告された。ニューメキシコ州では感染がおよそ10の郡に広がっている。

 ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官は26日、閣議の際に記者団の質問に答え、「麻しんで2人の死亡を確認している。流行を注視している」とした。また「流行は珍しいことではない」などと語った。

■麻しん(はしか)(Measles)

 麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症。感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で人から人へ感染する。その感染力は非常に強いとされ、同じ部屋にいるだけで感染することがある。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症する。感染して10~12日の潜伏期間後、高熱、咳、鼻水などの症状が出て、口の中に白い小さな発疹が現れる。その後、体中に赤い発疹ができる。別の病気にかからなければ7~10日後に回復する。先進国では死亡することは少ないが、まれに脳炎や肺炎で死亡することがある。一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われる。手洗いやマスクでは予防できないため、予防接種がもっとも有効とされる。