
3月7日にH-1B抽選のための企業登録の受付が始まります。H-1Bとは1990年に設けられた短期就労ビザのことで、基本的には4大卒者や同等資格保持者が対象となります。さらに、そのポジションは、大学レベルの特定の専攻分野を通して習得した知識や技術が必要であることが条件です。
【年間枠制限】
H-1Bの年間発行数には制限があり、一年間に6・5万枠にの一般枠があり、さらにアメリカの修士号以上の学位保持者には追加で2万枠が設けられています。一般枠中6800枠はチリとシンガポール国籍者に割り当てられます。
【オンライン登録システム】
申請は、H-1Bの就労開始日である10月1日の6ヶ月前の4月1日から受付が始まります。しかしながら、ここ数年H-1Bの申請者数は年間枠を大幅に上回っているため、新規申請者はオンライン上の無作為の抽選で選ばれます。雇用主は3月7日東部時間午後12時から3月24日東部時間午後12時までの間に移民局のmyUSCIS オンライン・アカウントに会社情報とH-1B申請社員の情報を登録します。
登録費用は今年から申請社員一人につき10ドルから215ドルに値上がりしました。ここ数年間はおよそ24%〜45%前後の当選確率となっています。米国の修士号や博士号保持者は一般枠で当選しなければ、再度大学院枠の抽選に掛けられるので、大卒者よりは当選確率が少し高くなります。
【H-1B申請】
当選したら、雇用主は4月から6月の間にH-1B請願書類を移民局に提出します。6月までにH-1Bの年間枠が償却されなければ、7月に第2次抽選があります。第2次抽選に当選すれば8月から10月の間にH-1Bを申請することができます。
【H-1B年間枠免除】
H-1Bの延長申請、過去6年間にH-1Bを取得した人、また、非営利団体の大学機関、大学機関と連携プログラムがある非営利機関(例えば、大学からインターン生を受入れている病院等)、もしくは政府や民間の非営利研究施設等は、年間枠免除の対象となるので、年中いつでもH-1Bを申請することができます。ただ、H-1B枠免除団体からH-1B枠対象企業へ転職するときは、H-1B年間枠の対象となるので、H-1B抽選に当選しなければなりません。
【複数企業・転職】
H-1Bはスポンサー企業での就労に限定されます。転職希望者は、新規雇用主が新たにH-1B申請を移民局に提出します。H-1Bはパートタイム申請も可能なため、雇用主が複数いる場合は、それぞれの雇用主がH-1Bを申請することで、同時に複数企業で就労することもできます。
また、H-1B枠免除団体を通してH-1Bを取得していれば、H-1B枠免除団体での雇用が続く限りは、H-1B枠対象企業が2つ目のH-1Bを同時雇用主として申請することもできます。ただし、この場合H-1B枠免除団体での雇用が終了した時点で、2つ目のH-1Bも無効となってしまいます。H-1B枠対象企業のみで就労するためには、H-1B抽選に当選しなければなりません。
【申請料金】
H-1Bの初回申請費用は、基本申請料金780ドル(小規模雇用主や非営利団体は460ドル)、詐欺防止費用500ドル(初回申請のみ)、ACWIA追加申請料金 1500ドル(社員25名以下の場合は750ドル)の他に、昨年から新たにAsylum 費用600ドル(小規模雇用主は300ドル)が加わりました。H-1B枠免除対象の非営利団体はACWIA追加申請料金とAsylum費用が免除されます。
また、社員が50名以上いる場合、社員の50%以上がH-1BやLビザ保持者であれば、従来の申請費用に加え4000ドルの追加申請費用が課せられます。特急申請を希望する場合は、特急申請料金2805ドルを支払えば15営業日(3週間)以内の審査となります。なお、移民局のフォームや申請費用は随時変更することがあるので、必ず移民局のウェブサイトで最新の情報を確認する必要があります。
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大蔵昌枝弁護士プロフィール
ジョージア州弁護士。アトランタにあるTaylor English Duma LLP 法律事務所勤務。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本にて証券会社や製造会社の国際事業部をの勤務を経て、97年に米国公認会計士試験に合格。2002年サウス・カロライナ州サウス・カロライナ大学ロースクールおよびビジネススクールを卒業。経営学修士号(MBA)、法学博士号(JD)を取得。現在は弁護士として移民法やその他の相談などを行っており、日本語、英語、中国語で対応できる。