Home コラム 第4回 膝の痛みの原因と予防法

第4回 膝の痛みの原因と予防法

 一言で膝の痛みと言っても、外部からの大きな衝撃によって生じる靭帯断裂や膝蓋骨骨折などの急性的なものから加齢に伴って起きる骨の変形性による膝の痛みなど様々です。

 特に50代以降の膝痛は、急性の症状とは異なり、立ち上がる時だけに痛みを感じ始め、膝を曲げる、伸ばす動作が困難、ランニングができない、歩くときに痛いなど徐々に日常生活に支障が出てくるのが特徴です。悪化すると膝の関節にある軟骨が老化により少しずつすり減って、結果として変形性膝関節症を発症する場合もあります。とくに中高年に多く、女性の発症率が男性よりも多いです。

 その要因として、加齢による骨密度の減少、特に更年期後の女性は、女性ホルモンの1つ、エストロゲンが減少します。エストロゲンは骨の形成を促し、骨の吸収を抑える働きがあり、その結果、骨密度が減り、関節症になりやすくなります。その他の原因として体重過多による膝への負担、車の修理工やガーデニングなど、仕事や趣味による長時間、長期間作業で生じる膝への負担、また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷の後遺症として発症することもあります。

 アメリカの整形外科では痛み止めやステロイド注射を打って一時的に痛みを取り、その後、リハビリを行って、膝周辺の筋肉を鍛え、同時に可動域を改善させます。特に重要なのは、膝のまわりの筋肉をストレッチと筋力強化で整え、なるべく膝関節に負担をかけないようにすることです。 

 大腿四頭筋(図1)は膝関節のの伸展においてとても重要な筋肉です。この筋肉が弱いと膝が曲がってしまい、歩行動作に影響を与えるので、しっかり鍛えておきましょう。図6のスクワットは、両足を肩幅よりやや広げて、なるべく膝をゆっくり深く曲げて、10回、3セットを目安に行います。四頭筋と共に臀部の筋肉も鍛えられ、膝の動きと深く関係する骨盤も安定させるので、ぜひ行ってみて下さい。

 大腿四頭筋以外にも3つの筋肉が膝関節に付いています(図2)。これらの筋肉が硬いと膝関節が正常な位置に安定しないのでこの3つの筋肉のストレッチも重要です(図3〜図5)。ハムストリングスは太ももの裏側に付いている筋肉で膝の裏まで伸びている長い筋肉です。この筋肉が硬いと、股関節の可動域が減り、足が前に出にくくなり、膝に負担がかかるので、しっかり伸ばしましょう(図5)。

 最後に骨盤が歪んでいると足の長さに左右差ができ、どちらかの膝に負担がかかります。長期間そのままの状態で、運動をしたり日常生活を続けていると後々、股関節、膝関節の関節症を発症させる要因にもなりますので、痛みがなくても定期的に専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。

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ドロリンガー真紀 

 カイロプラクティック大学卒業後、カルフォルニア、ワシントン州で豊富な臨床経験を積み、その後、ユタ州での開業を経て、2022年より、テキサス州ヒューストンに Pro Relief Chiropractic をオープン。テキサス州公認カイロプラクター。ガー真紀 

 カイロプラクティック大学卒業後、カルフォルニア、ワシントン州で豊富な臨床経験を積み、その後、ユタ州での開業を経て、2022年より、テキサス州ヒューストンに Pro Relief Chiropractic をオープン。テキサス州公認カイロプラクター。