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第3回 四十肩、五十肩の原因と予防法

 四十肩、五十肩はその名の通り、40代、50代で発症しやすい肩の痛みで医学用語でいうと、癒着性関節包炎または肩関節包囲炎、英語でFrozen shoulder、またはAdhesive Capsulitis といいます。主な症状としては、肩が徐々に上がらなくなる、もしくはある日、突然上がらなるといった症状です。

 おもな原因として肩周辺の関節包、靭帯の炎症です。痛みはあるが、無理をすればまだ腕が上がる状態が発症から2週間くらい続き、その後、関節周辺の癒着が始まり、痛みは少し収まりますが、可動域が著しく減少し慢性化します。放置すると6か月、長いと1年はこの状態が続くので、早めに治療をし、その後、可動域を上げるリハビリに取り組むことをお勧めします。

 四十肩、五十肩は、加齢による骨、靭帯、腱の劣化、筋力の低下、仕事、スポーツ、趣味などで繰り返される肩関節への負担、例として、ゴルフ、テニス、庭仕事などです。更年期によるホルモンバランスの変化、エストロゲンの減少も影響するので、男性よりも女性の発症率が高いです。

 診断方法としてレントゲンで骨周辺の石灰化の有無をチェック。医者の判断にもよりますが、重症の場合、MRIで肩周辺の靭帯や腱、筋肉の断裂がないかを診ます。その後、整形外科であれば、薬または注射で痛みや炎症を抑え、その後、理学療法でリハビリを行い、薬や注射投与に抵抗がある場合はカイロプラクティックや鍼などで可動域を改善させる治療、リハビリをします。ある程度、可動域が改善されたら、ホームエクササイズで筋力強化をし再発防止という流れです。

 当院にも四十肩、五十肩で来院される方が多くいらっしゃいますが、まず検査法しては、肩関節を動かすのに重要な役割を担う4つの筋肉のテストを行い、どの筋肉が弱いか診断します。

 弱い、もしくは使えていない筋肉は硬いので、まずはその筋肉をドライニードル(筋肉に鍼を打ち電気を流す方法)でほぐし、その後、肩を動かす4つの筋肉に重点を置いてストレッチをし、少しずつ痛みをとり、可動域を改善させます。これは私自身が実際に提供している治療法ですが、クリニックや施設によって治療法は様々です。

 もう一つ見落としてはいけないのは姿勢のアンバランスによる肩回りの硬直です。図1のように首後ろ付近の筋肉と大胸筋が硬く(赤線)、首の前の筋肉と肩甲骨周りの筋肉が弱い(青線)姿勢になると、肩の可動域を制限されます。年齢、性別に関係なく、デスクワークの多い方はこの姿勢になりやすく四十肩・五十肩予備軍になり兼ねないので、日頃から体を動かす習慣をつける為にも簡単にできるエクササイズを紹介します。

 まず、図2のように胸の筋肉を伸ばすことにより、巻き肩を改善できます。図3のようにダンベルを後ろに引くエクササイズにより、背中の筋肉を鍛え、猫背予防になります(10回×3セット)。図4は仰向けになり、顎をできるだけ引き、5秒ほどその状態を保ち、5秒リラックスを繰り返すことにより、顎を突き出す姿勢が改善されます。ぜひやってみて下さい!続するだけで、数週間後にはご自分の姿勢に変化が表れてくるのが実感できると思います。ぜひ試してみて下さい!

ドロリンガー真紀 

 カイロプラクティック大学卒業後、カルフォルニア、ワシントン州で豊富な臨床経験を積み、その後、ユタ州での開業を経て、2022年より、テキサス州ヒューストンに Pro Relief Chiropractic をオープン。テキサス州公認カイロプラクター。