
朝夕が涼しくなってきた秋口は、夏休みが終わり、本格的に授業や仕事が再開する時期です。心機一転し、これまで慢性化していたことにも新たな気持ちで取り組めます。苦手な同僚や隣人に日々悩んできた人も、夏の間に職場や家を離れてリフレッシュし、関係をどう再構築するかについて考えられたかもしれません。何事もなかったかのように、徐々に関係を修復できる場合もありますが、仲良くしたいという意思を明確にした方がよい相手もいます。そこで今回は、苦手な人との関係の改善の仕方を取り上げます。
まず、出会って比較的間もないものの、お互い第一印象が悪い場合。たとえば、新しく来た隣人の家から終始ガンガンとドラムの音が聞こえてきたら嫌でしょうし、「静かにしてほしい」と注意ばかりしていたら先方からもうるさがられて、関係は悪化する一方です。そのような時は、I feel that we started off on the wrong foot. という表現で歩み寄ることができます。I want to treat you to coffee, so why don’t we get to know each other better? と声をかけてみたら、実は音大生であることが分かったり、ドラムを練習しない時間帯を決めてもらったりと、何かしら進展があるかもしれません。
それなりに長く一緒に働いてきたものの、どうも性格が合わなそうな同僚とも、関係の改善を試みることができます。We haven’t really talked outside of work, so could we have lunch together sometime?と誘ってみたら、共通点や仕事以外の話題が見つかるかもしれません。仕事の仕方の違いについても話し合えます。たとえば会計担当の人は、熱心だけど社内の締め切りが守れない同僚に対し、What can my team do to make it easier for everyone to submit receipts? と聞くことで同僚の視点に耳を傾け、会社全体の改善も目指すことができます。
喧嘩をしてしまった大切な友人や家族との仲直りも重要です。I miss spending time with you. と声をかけ、Could we put that argument behind us and start over? と聞くことができます。どうしても合意に至ることができない内容が大した話でない場合は、We can agree to disagree. という言い方もできますが、歩み寄る姿勢を見せていないので、相手や状況を選ぶ言葉となります。本当に大事にしたい相手とは、I know we have our differences, but I want to continue working on our friendship. などと明確に言った方が真摯な気持ちが伝わるでしょう。
人間関係の改善はエネルギーも時間もかかります。うまくいかない時ももちろんあるでしょう。それでも状況が改善される可能性にかけて、できることはやりたいものです。また、期待していた反応がたとえ返ってこなかったとしても、努力をした自分に誇りを持つことができますし、次にそういった状況に直面した時に向けて学べることがあるかもしれません。
■プロフィール
シアトルで生まれ、ホノルルと東京で育つ。Shiori Communications, LLCの代表として、ワシントンDCを中心に、通訳、執筆活動などを展開。日米をつなぐ言葉の仕事に情熱を注いできた。過去には米日カウンシルや在米・在英日本大使館の広報チームで勤務。通訳者としては、日米各地でハイレベルの会議、人的交流プログラムなどを担当。ダートマス大学で学士号、コロンビア大学の国際公共政策大学院とジャーナリズム大学院で修士号を取得。ブログ「tabula sarasara」、ポッドキャスト「CrossWorld Puzzles」更新中。