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9  選択肢の提示の仕方

 10月の米国は、かぼちゃ、お菓子、お化けのモチーフのグッズなど、ハロウィン一色です。当日は、家々をまわって「Trick or treat」と繰り返す、仮装した子供たちに大人たちがお菓子を渡します。誰もが自然に「treat」を選んでいるわけですが、普段の生活では、大人はもっと複雑な選択に常に直面しています。今回は、そのような成人に対し、選択肢をどのように分かりやすく提示・説明するかについて取り上げます。

 まず、選択肢がいくつあり、いくつ選んでほしいのかを明確にすると親切でしょう。We’ve created three designs based on your requests, and would like to ask which one you prefer. と書いたり、For this entr’m available for the rest of the month, I would prefer to meet with you next week if possible. などとはっきり希望を伝えることができます。相手が顧客だったりしてあまり強く言えないものの、特定の方向に誘導したい場合には、We look forward to your payment at this account. などと断言した後で、If online payments are difficult, we also accept checks by mail. と選択肢を追加することができます。

 どれが選ばれてもかまわない場合にも、選択肢の説明が必要です。それぞれ良し悪しがあって比較しづらければ、On the one hand, a train ride costs $75 but takes four hours. On the other hand, a plane ride costs $150 but would be a shorter trip door-to-door. と数値なども提示して選んでもらうことができます。それぞれの選択肢のメリットを表にし、For your reference, we have listed the strengths of each investment option.  と顧客に説明したり、Perhaps you’d like to take some time and consider the pros and cons. と言ったりもできます。

 かわいいお化けの格好をしてお菓子をねだれる子供時代が過ぎた今、成人は、今晩の献立から生命保険の種類まで、あらゆる規模の選択に常に迫られています。そんな中で負担を増やさず、(できればこちらの希望に沿う形で)最良のオプションを選んでもらえるように、少しでも分かりやすく説明したいものです。

 ■プロフィール

 シアトルで生まれ、ホノルルと東京で育つ。Shiori Communications, LLCの代表として、ワシントンDCを中心に、通訳、執筆活動などを展開。日米をつなぐ言葉の仕事に情熱を注いできた。過去には米日カウンシルや在米・在英日本大使館の広報チームで勤務。通訳者としては、日米各地でハイレベルの会議、人的交流プログラムなどを担当。ダートマス大学で学士号、コロンビア大学の国際公共政策大学院とジャーナリズム大学院で修士号を取得。ブログ「tabula sarasara」、ポッドキャスト「CrossWorld Puzzles」更新中。