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第1回 腰痛の原因と予防

 皆さん、一度は経験したことがある腰痛。急性と慢性の腰痛がありますが、急性の腰痛で多いのがぎっくり腰と呼ばれるものです。転倒や車の事故といった外部からの強い衝撃によるものではなく、ソファから立ち上がろうとした瞬間、洗顔しようと前かがみになった瞬間に腰に激痛が走り、そのまま動けなくなるといった日常生活の中のふとした動作で起こるのがぎっくり腰です。

 激痛の原因は主に筋肉、細かく言うと筋繊維の損傷によるものです。腰に過度の負荷が一定期間かかり、筋肉がこれ以上支えられない限界に達したとき、痛みとして脳に伝達します。なぜこのようなことが起きるのか、原因として多いのが、腰を支える筋肉のアンバランスです。

 デスクワークの姿勢を例に挙げると、疲れてくると背中が丸まり首が前に出る姿勢になります。そうなると、体の前側にある体幹の筋肉が縮む↓硬くなる↓使われていないので弱くなります。その分を補おうと体の後ろ側の背骨を支える起立筋に倍の負担がかかり、最終的に起立筋が限界を感じ、立ち上がろうとすると痛みで立ち上がれなくなるといった連鎖です。

 同様に骨盤を安定させる臀部の筋肉も長時間、座ることによって、使われず、弱って、腰痛を招きます。

 このようにぎっくり腰は急性の腰痛ですが、慢性的な筋肉のアンバランスが引き金となって起きるのです。

 図1はクロスシンドロームと呼ばれるもので、正しい姿勢を支える深層の腹筋と臀部の筋肉が弱く、反対側に位置する起立筋と腸腰筋が硬くなり、この状態が長期間続くと急性、もしくは慢性の腰痛に繋がります。今回は、日々忙しい皆さんのためにエクササイズとストレッチを1つずつご紹介します。

 図2のエクササイズはDog & Birdと呼ばれるエクササイズで、体幹を鍛えるとともに骨盤まわりの筋肉のバランスを整え、左右のバランスも均等にする優れたエクササイズです。

 注意する点としては、左右交互に行うこと、手と足を伸ばすとき、背中を反らさないで背骨を真っ直ぐな状態で2-3秒保ちゆっくりと戻すことです。その時、左右行って、グラついたり安定しない側は、体幹が弱い証拠です。膝が痛い場合は、タオルを下に敷いて行ってください。

 図3は背骨から骨盤の前、股関節側についている腸腰筋のストレッチです。この筋肉が硬いと骨盤を前に引っ張り過ぎて、お腹を突き出すような姿勢になり、腰に負担がかかるので、この筋肉をしっかりストレッチして腰痛予防を心掛けましょう。

 5分でもいいので、上記のエクササイズとストレッチを毎日継続するだけで、数週間後にはご自分の姿勢に変化が表れてくるのが実感できると思います。ぜひ試してみて下さい!

ドロリンガー真紀 

 カイロプラクティック大学卒業後、カルフォルニア、ワシントン州で豊富な臨床経験を積み、その後、ユタ州での開業を経て、2022年より、テキサス州ヒューストンに Pro Relief Chiropractic をオープン。テキサス州公認カイロプラクター。